築40年の家は水回りだけリフォームできる?工事範囲の決め方
築40年の家でも、水回りだけのリフォームは検討できます。設備だけで済むかは配管・下地・建物の状態によって決まります。築年数だけでは全面改修の必要性を判断できません。住み続けている戸建ての場合は、今回替える設備・一緒に補修する部分・家全体で先に調べることに分けましょう。
「水回りだけ」でも、設備の下と周囲まで確認する
キッチン・浴室・トイレ・洗面台は、目に見える商品だけで使えるわけではありません。水を送る給水管、お湯を送る給湯管、使った水を流す排水管につながっています。床や壁の仕上げを支える内側の材料が下地です。
たとえば洗面台を新しくしても、接続先から水が漏れていたり、下の床が傷んでいたりすれば、その部分の補修も検討します。交換する設備と、残して使える配管・下地の境目を決めることが、部分リフォームの出発点です。
青:水 赤:お湯
灰:排水 茶:床の位置
① 見える設備
キッチン・浴槽・便器・洗面台
使いにくさ、故障、サイズを確認
② 設備の下・壁の内側
接続先の配管・床下地・周囲の壁
水漏れ、傷み、点検できない範囲を確認
③ 家全体で別に確認すること
雨漏り・柱や土台の傷み・耐震性など。水回り交換の見積もりに、診断や補修が含まれるかは別に確認します。
上の図は工事範囲の考え方を示す模式図で、実際の位置や寸法を表していません。①の設備を交換するときに②も確認し、③に心配があれば建築士などへ調査を相談する、という順番で使ってください。
現地調査では、交換履歴と今の状態を伝える
築40年でも、設備や配管が40年間同じとは限らない
家を建てたあとに、給湯器・水栓・キッチンだけを交換していることもあります。過去の見積書、工事の写真、取扱説明書があれば準備しましょう。「いつ、どの部屋の、どこまで替えたか」が分かると、残す部分を確認しやすくなります。
分からない場合は、推測せず「交換時期は不明」と伝えて構いません。建築時や増改築時の図面も、残っていれば業者へ見せてください。
見える接続部と、開けないと分からない場所を分ける

洗面台の収納内などでは、写真のように管や接続部が見えることがあります。一方、床や壁の内部まで同じように見えるとは限りません。「今回の調査で確認できた場所」と「設備を外したあとに確認する場所」を、説明してもらいましょう。
水が漏れる、床が沈むように感じる、壁に染みがあるなど、気になる状態は場所と時期を伝えます。自分で床下へ入ったり、設備を外したりする必要はありません。
耐震性や雨漏りの心配は、設備の相談と分けて伝える
水回りが新しくなっても、建物全体の耐震性を確認したことにはなりません。耐震性は専門家の耐震診断で確認します。増改築の履歴や気になるひび割れを建築士へ伝えてください。
「インスペクション」という点検・調査を依頼する場合も、名称だけで内容を決めないようにします。目視が中心の調査と、配管の検査、耐震診断では確認する内容が異なります。調べる場所・方法・確認できない部分・費用を先に聞きましょう。
設備だけ・周囲も補修・家全体を検討、の3案で比べる
以下は工事範囲を考えるための比較です。実際に選べるかは、現地調査と必要に応じた詳しい調査で確認します。
A案:設備の交換を中心にする
配管や下地を使い続けられると確認でき、設備の位置も大きく変えない場合に検討します。
本体、撤去・処分、接続、交換で生じる床や壁の補修を含めて見積もってもらいます。部品交換で済む不具合も、全体交換との違いを聞きましょう。
B案:設備と配管・下地を一緒に直す
水漏れや傷みがある、接続先の配管も更新する必要があるなど、設備だけでは目的を果たせない場合です。
「どこからどこまで直すか」を図や写真で確認します。取り替えに伴う内装の復旧も含め、残す部分との境目を決めます。
C案:建物全体の調査・計画を先にする
雨漏り、柱や土台の傷み、耐震性などに心配があり、水回り工事だけで進めてよいか分からない場合です。
まず調査の範囲を相談し、必要な補修と水回りの工事順序を決めます。調査を相談することと、家全体の工事を契約することは別です。
たとえば、洗面台の使い勝手が不満ならA案を基準にできます。ただし、その下で漏水や床の傷みが見つかればB案の範囲を確認します。屋根からの雨漏りが続いているなら、その原因を残して内装だけを仕上げないよう、C案の調査を相談します。
今後の暮らしと、工事を分ける場合の重複も考える
何年くらい住む予定か、介助や段差への配慮が必要か、使っていない部屋があるかも伝えましょう。浴室の段差をなくしたいなら、浴槽だけでなく出入口や洗面所とのつながりも確認します。
予算のために工事を分ける場合は、あとから同じ床を開け直す工事がないかを聞いてください。一度に工事する案との比較は、水回りをまとめて工事する場合と、別々にする場合の記事で確認できます。
費用は、設備代より先に「含む工事・別料金」をそろえる
築40年という条件だけでは、総額を決められません。同じ商品でも、残せる部分、配管の経路、補修する面積で工事が変わるためです。商品代の安さだけで比べず、次の項目が見積もりに含まれるかを確認してください。
| 確認する項目 | 業者へ聞くこと |
|---|---|
| 設備本体 | メーカー・品番・サイズ・必要な機能。残す機器との組み合わせは可能か。 |
| 撤去・接続 | 古い設備の搬出・処分と、給排水・電気・ガス等の接続をどこまで含むか。 |
| 配管・下地 | 調査で確認できた範囲は何か。更新・補修する場所、残す場所はどこか。 |
| 床・壁の復旧 | 設備を外して傷む部分の補修、壁紙や床の張り替えはどの範囲か。 |
| 未確認部分 | 解体後に追加が必要なら、写真・金額・工期を誰が説明し、どのように合意するか。 |
「追加が出ることがあります」で終わらせず、追加を判断する条件と、着手前の連絡・合意方法を契約前に確認しましょう。
未確認の配管や下地がある場合は、今回の見積金額に含まれていない費用が何か、予算を超えたらどこで工事を止めて相談するかも聞きます。
建築確認などの手続きが必要か、工事範囲が変わる時点で確認する
キッチン・トイレ・浴室など水回り設備のみのリフォームは、国土交通省の案内では建築確認手続きが不要です。建物の主要構造部まで改修範囲が広がる場合は、別に手続きの要否を確認します。
一方、2025年4月以降、2階建ての木造戸建てなどで、建物の主要な壁・柱・床・梁・屋根・階段の一種以上を過半(半分を超える範囲)にわたり修繕・模様替えする工事は、建築確認の対象になります。水回りから建物本体の工事へ範囲が広がる場合は、着工前に建築士へ手続きが必要かどうかを確認してください。手続きが不要な場合も、法令への適合は必要です。
見積書が読めず判断に困ったら
まず業者へ、分からない用語と工事範囲を説明してもらいましょう。契約前・着工前の住宅本体を含むリフォーム工事では、住まいるダイヤルの無料の見積チェックサービスも相談先です。利用条件があり、業者との交渉や責任追及のためのサービスではありません。住まいるダイヤルの公式案内で対象と手順を確認できます。
現地調査で業者へ聞ける5つの質問
① 今回、残して使える部分はどこですか?
設備だけでなく、接続する配管と床・壁の下地まで聞きます。判断の理由と、まだ確認できていない場所を写真や図で示してもらいましょう。
② 傷みの原因も、今回の工事で直せますか?
水漏れや染みがある場所を伝え、原因の調査と補修が見積もりに含まれるかを確認します。設備交換とは別の専門業者の調査が必要かも聞きます。
③ 解体後に追加が必要なら、どう相談しますか?
追加工事の説明、写真、変更後の金額・工期を受け取り、合意してから進める手順を確認します。予算の上限も先に伝えましょう。
④ 工事中は、どの水回りが何日使えませんか?
トイレ・入浴・台所を分けて聞き、使える設備を残す順序や、代わりの場所を検討します。水を止める時間、荷物の移動、作業する時間帯も確認します。
⑤ 工事後、どこを一緒に確認し、何が保証されますか?
水漏れ・排水・機器の動作などの確認方法と、設備・施工それぞれの保証を聞きます。残した古い配管など、保証の対象外となる部分も書面で確認しましょう。
よくある質問
築40年なら、配管はすべて交換した方がよいですか?
築年数だけでは判断できません。
配管の材質、交換履歴、傷み、点検・更新できる範囲を確認します。すべて替える案と必要な範囲を替える案では、工事と費用の違い、残す部分の注意点を説明してもらいましょう。
予算が少なければ、水回りの1か所からでもよいですか?
可能かどうかを調査したうえで、使えない設備や原因の補修から優先順位を付けます。
あとで同じ場所を解体する工事が重ならないか、まとめる案との総額の違いも確認してください。
水回りを新しくすれば、あと何年住めますか?
設備交換だけから、家の残りの寿命を決めることはできません。
雨漏り、構造、耐震性など建物全体の状態と、今後の維持管理も関わります。住み続ける予定を伝え、建物の調査や補修計画が必要か相談しましょう。
設備の場所は、変えない方がよいですか?
今の配置で不便が少ないなら、同じ位置の案を比較の基準にできます。
動線や介助のために変更したい場合は、配管の経路、床や壁の工事、費用の差を確認します。同じ位置なら必ず安いと決めつけず、含む工事をそろえて比べてください。
次に確認したい記事
3案の費用と調査範囲を見積もる
調査費と工事費を分けて比較
現地で確認できない配管・下地の補修額を、一律の金額として埋めることはできません。見積もりの確定部分と未確定部分を分けてもらいます。
| 案 | 含める内容 | 金額・日数の確認 |
|---|---|---|
| A:設備交換を中心にする | 本体・撤去・接続・必要な周囲の補修 | 機種と範囲をそろえた工事総額と停止期間 |
| B:配管・下地も直す | A案に配管更新・下地補修・内装復旧を追加 | 解体前に分かる範囲と解体後の追加条件 |
| C:家全体の調査を先にする | 耐震診断・点検と工事計画 | 診断費、調査期間、補助制度の申請時期 |
建築確認が不要な場合も法令への適合は必要です。主要構造部を含む計画は、工事前に建築士へ確認してください。
参考にした公式情報
情報確認日:2026年10月21日。工事範囲の比較と質問例は、以下の情報を踏まえて作成しています。実際の補修・診断・手続きは、自宅の状態と工事計画を依頼先へ示して確認してください。
- 住宅リフォーム推進協議会:リフォーム前に知っておきたい6つのこと — 水回りの不具合、維持管理と暮らしの変化。
- 国土交通省:建築物の改修における建築基準法のポイント説明会(PDF) — 木造戸建ての水回り工事と建築確認。資料の「木造戸建のリフォームにおける建築確認手続の要否判断」を参照。
- 国土交通省:耐震改修の進め方 — 専門家による診断と、建築・増改築の資料の準備。
- 国土交通省:インスペクション(既存住宅の点検・調査) — 既存住宅の調査の概要。
- 住まいるダイヤル:リフォームの見積書に関する相談 — 見積チェックサービスの対象と留意点。
- 国土交通省:木造戸建のリフォームにおける建築確認手続の要否(2026年11月1日確認)